// ひとりぼっち //


いすに座る。
「決してここから動いちゃいけないよ。」
神様が言った。
目の前には、たくさんの人。
日常っていう揺り篭に揺られている。
その中の誰も、わたしの事なんて見ていない。
でもいい。わたしは一人でも平気だから。



耳を塞いでみる。
手で耳を覆って。
わたしの世界から音が消えた。
目の前の人々、足音無く通り過ぎる。
どうせ、誰もわたしを見てはいない。
いいよ。一人でも平気だから。



目も閉じてみる。
眉間にしわができるくらいに。
わたしの世界から色彩も消えた。
目の前の人々、もうわからない。
でも、きっと誰も見ていない。わたしの事。
だって、わたしは一人だから。



「歩いてみなさい。」
また、神様が言う。
そっと、立ってみる。
目の前の世界、誰もいない。
何も・・・見えない。
暗い。何も聞こえない。・・怖い。
誰か助けて。



耳を澄ます。
耳から手をはなしてみる。
日常が、聞こえる。
目を、開いてみる。
・・ぼやけてよく見えない。
どうやら、わたしは泣いているらしい。
けれど、光と目の前の人。
わたしを覗きこんでる。
心配そうな顔をして。



誰かきっと自分を見てくれている。
そう信じて。
だって、人間は一人じゃ生きていけないんだから。


そう・・信じなきゃ・・・






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